夕立

まぁ、日記。
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会話
USBの整理

なんか、とある小説に触発されて書いたものがでてきた。



* * *


「思うんだがねリリャ」
「はいなんですか?」
「なぜ君はいつもそうなのかね?」
「そうとは?」
「なぜ買い物を頼んだはずなのに、未だにここにいるのかい?」
「だって、重たいんです」
「……何が」
「ピクルスの瓶が」
「君の好物だろう」
「そうですよ。でも瓶です」
「………でも買い物に行かないと、ないよ」
「だって、重いんです」
「わかった。わかったよ。馬を出してあげるから、本棚をひっくり返すのはやめなさい」



「ぅわぁ。なんだいこの惨状は?」
「掃除したんです」
「掃除?」
「はい」
「……花瓶がなくなってるけど?」
「片付けました」
「クッションが引き裂かれてるけど」
「羽をまいたのです」
「絨毯に染みが」
「模様です」



「もうすぐ夕食の時間だね」
「私、グラタンが食べたかったのです」
「そう、それで?」
「じゃがいもとチーズを買ったんです」
「ふぅん」
「そしたらおじさんが、これもおいしいよって」
「りんごだね」
「はい。それからミルクが必要だったので」
「で、買ってきたんだ」
「はい」
「だけど、牛を買ってきてもねぇ」



「リリャ、君がピクルスが大好きなのは知っているよ」
「そうですね」
「だけど、これはひどいんじゃないか?」
「だって、ピクルスは苦手だと思って」
「僕も好きだよ」
「………っち」
「今、舌打ちしたね」
「そんなことしてません」
「わかったら、瓶を貸して、なんで僕の分だけ少ないのかねぇ」



「まだ、杖を持ってはだめだと言ったよねぇ」
「倉庫にあったので」
「倉庫にも行くなと言ったよねぇ」
「掃除をしに」
「掃除もするなと言ったよねぇ」
「私にできることがことごとく否定される」
「君がまともに魔術も掃除もできたためしがないでしょ」
「日々練習を欠かさないことが精進への道のり」
「うまい事言うけどね、被害のほうが甚大だからね」



「この本、どうしたのかな」
「逃げ出したのです」
「一人で」
「ひとりで」
「ページが所々なくなっているんだけど」
「禁術は高く売れ……いえ、葬り去らないといけませんから」
「そうだね。だから術で鍵をかけて封印しといたんだけど」
「紙は脆いのです」
「聖水の結界も張ったんだけど」
「ガラスも脆いのです」
「減俸だね」
「わっ私のお給料が!」
「そもそも、払い続ける意味がなくなってきたと思う」
「それは、私が師匠を超えたから!!」
「馬鹿も休み休み言いなさい」



「暑い」
「暑いねぇリリャ。どれ、水の魔術でここら辺を涼しくしてくれるかい」
「―――」
「なんだい、その絶望的な顔は」
「普段はいくら頼んでも魔術を使わせてくれない師匠が、積極的。大変、何があったのか」
「どういう意味だい」
「まさか、このままいいようにこき使われる人生なんじゃ」
「使ってほしいのか」
「そしてそのまま、二度と表舞台には立てなくなって」
「どんな妄想だいそれは」
「そして私は、気がつけば海の藻屑に!」
「で、結局魔術は使えるのかい?」
「暑いからといって、気候を変化させてはいけない」
「つまり、まだ水の精霊の力を得てないのだね」
「いつも、師匠に杖を奪われるから」
「それは初歩。杖なんてないままできる」
「……暑いからといって」
「噴水の水を霧にしてまくぐらい問題ない」



「そうそう明日は出かけるから」
「いってらっしゃい」
「君もくるんだよ。もちろん荷物持ち」
「いたいけな乙女をこき使う気」
「どこがいたいけなの。昨晩蜂蜜瓶を背負っていたとは思えないね」
「あれは小さくて」
「どこが小さいの、それなら背負わなくても大丈夫でしょう」
「蜂になった気分で……」
「明日はらくだになった気分で、たっくさん背負ってくれていいからね」

「重い」
「さぁ行くよ」
「自分だけはなんて身軽な……」
「僕は杖より重たいものを持ったことがないから」
「うそだー」
「君の年齢よりは詐称していないはずだよ」
「乙女に年齢を聞くなんて」
「もう乙女だと言えない歳だけどね」

「重いーー重いー」
「はいはい」
「センリ、遅い。……大丈夫か? 少し持とう」
「まともな反応が」
「無駄だってわからないものかね」
「じゃ、これだな」
「あの、」
「なんだ?」
「それは?」
「申し訳ないが、杖より重たいものを持ったことがないからな」
「師匠の友達だった……」
「気がつくのが遅いよ」
「どうでもいいから、お財布を返してください」
「せっかく手伝うと言ったのに」
「それじゃないものを持て」
「だから〜」
「杖より重たいものを持ったことないのでしょう!!」

「ついたー」
「ほら、荷物はあっち、」
「はいはい」
「君もあっち」
「なんで」
「だって、お荷物だろう」
「よろしく、荷物番」
「横暴だー」

「うっうう。師匠と友達は今頃、いかがわしい店で黒い服に耳を生やした赤いヒールの靴のお姉さんに踏みつけられてるんだ。ふーんだ」
「なんか、指定が細かいね」
「というか、昼間からそんな妄想に突入できる脳みそがおかしいだろう」
「げっ私のモノローグを邪魔しに来たのね」
「ひどいなぁ。これでも急いで帰ってきたのに。ねぇセンリ」
「あ? ぁあっそうだな」
「? なにをあわてているの?」
「いや」

「帰ってきたー」
「ただいま、我が家。そして居候」
「ひどいっここまで荷物を運ばせておいてっ」
「はいはい。……はい」
「? なにか餌付けのように渡されたお土産」
「いらないなら返してもらおうか」
「私のものはわたしのもの。一度手に移ったのならこれは私のもの」
「はいはい。夕食はカレーライスにしようか」
「手抜き料理の代名詞」
「君の分はなしね」
「鬼〜」



「ほら起きて、もう朝だよ」
「そして今日もこき使われる私」
「志願したのは君だから」
「それが師匠のとどめの一言」
「まったく、口の減らないねぇ。ところで、昨日のお土産はどうしたのかな?」
「まだ開けてない。こうやって、日常のひとつひとつにケチをつけにくる。ぁあまるで嫁をいじめる姑……」
「くだらない妄想はいいから、早く開けなさい。仕事にならないだろう」
「仕事? 師匠の仕事は、魔術師。私は(そろそろ卒業)見習い」
「括弧の中身は消しない。だいたい、君につけるなら(仮)で十分だよ」
「いつもいつもいつも、師匠の毒舌に負けないようにがんばる私」
「話を戻してもいいのかね」
「どうぞ。といいつつも、箱を開けない私」
「怒るよ?」
「笑顔が怖い」
「やましいことがあるからね」
「これが地であるはずなのに……?」
「君に合わせて緑にしたのは正解かな」
「杖はだめだとこの前言ったのに」
「特注品だよ。自分に合わないものは折れてしまうからね。もったいないよ」
「でも貧弱」
「君に合わせたらそれくらいが妥当だよ。最初の杖にすればね」
「ここにきて早数ヶ月」
「そろそろ、本格的に修行だね。まずは水の精霊を呼んでもらおうか」
「そして師匠が涼しくなるために使われる」
「いやなら出て行ってかまわないよ?」
「いつもそう言って私を試す」
「これからもがんばるんだね弟子」
「これが私の師匠だなんて、人生間違えた」


* おしまい *
| 歌夜 | 気の向くまま創作or写真 | 12:38 | comments(0) | - |
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